むかーーーし。上方でとあるお家の若奥様をやっていた頃。
駅の側に、漢方医というのかな。
漢方クリニックがあり、子供達を連れて通っていたことがあったのだ。
もちろん、かかりつけの小児科医もあったけれど。
アレルギーや、疳の虫というのとかで相談できるところが少なかったのと、
西洋医学一辺倒に疑問を感じていたのもあったからかな。
漢方医というのに、ちょっと興味を持ったのだわ。
ちゃんと医療保険が使えるし、症状によって投薬も使い分けているし。
西洋医学を否定するのではなく、患者にあわせて東洋医学と西洋医学の良いところを取り入れるというのが良いと思った。
待合室が、畳敷きで広々としていて、ゆっくりゆったりしているのも気に入っていた。
そこには、白衣というより、道場着みたいな服装の若い整体師が数人いて
診察の順番を待っているお年寄りや子供達の相手をしたり、マッサージ等をしてくれたり。
病院の待合室にいると言うより、温泉の休憩室にいるような雰囲気があった。
パーティションや壁に、極彩色の曼荼羅とかが貼ってあったけど、それほど不思議には
思わなかった。梵字のデザインっぽいポスターもあったっけ。
そんな中に、白い服を着たひげ面の小太りのおっさんの写真や、ひげ面のおっさんが半裸で空中に浮かんでいるようなポスターがあって、フェスティバルホールで『奇跡の体験が出来る』的な文句が書かれていた。
整体師の若いお兄さんやお姉さんが、小太りのおっさんがプリントされた
カードを渡してくれて「フェスティバルホールにいらして下さいね」と、にこやかに
微笑んでいたっけ。
あの当時は、どんなからくりなんだろう?とか
なんもオーラ感じないんだけど、このおっさん凄い人なの?とか
奇跡の体験って、空中浮遊のことなのかしらね?とか。
どっちかというと、うさんくさげに思っていた。
あのポスターにあった、小太りのおっさんって『麻原しょーこー』だった?と、後で気づいた。
とても親身になって、いろいろ話を聞いてくれたりしていた彼ら。
素敵なお兄さんやお姉さんたちだった。
彼らと話していると、心が落ち着いていく感じがしたっけ。
時々いない彼らのことを聞いたら「山梨の道場に行っている」と
言われたこともあったっけ。
あの頃の事って、あまり覚えていないんだけれど。それでも、あのポスターだけは
とても鮮明に記憶として残っている。
あそこのクリニックって。ひょっとしてひょっとした?
とか思い至り、ちょっとぞーーーっとしたのである。