この度の旅行では、母の排泄介助も大きな課題だった。
いつもは施設の支援員さんが行っている排泄介助。様子を見て連れて行ってくれているし、面会中も、排泄に関しては担当の支援員さんに介助をお願いしていた。
排泄介助は、ヘルパーや施設支援員をしていた時には何度も経験あるし、心配はしていなかった。
しかし、いきなり何時もと違う介助では母が戸惑うと考え、出発前に施設での排泄介助に立ち会いたい旨申し入れをしていた。
出発30分前に、排泄介助に立ち会わせて貰った。・・・・立ち会うはずだったのだ。
当日夜勤明けの担当支援員さんは、満面の笑顔で「準備は出来ていますっ!」と言う。「トイレではどういう感じかお見せしますね」と、母を車椅子でトイレに連れて行き「このように立って頂き、こう支えて、着衣を下げて座って頂きます」と、服を着たままの母でデモをする。
「一人で介助予定なのですが、ここと違う場所に手すりがあった場合の方法はどうなります?」と聞くと「多分立てますから大丈夫です」と、なんの根拠もない返事が戻ってきた。
そうこうしているうちに、「車の準備が出来ました」と呼びに来られてしまう。
リムジンバスに無事乗り込み、空港での車椅子移乗も問題なく済ませた。
搭乗口へ移動し、まだ40分ほど時間があるし、飛行機に乗る前にトイレに行ってオムツを交換しておいた方が良いかと考えた。
荷物を夫に預け、母を多目的トイレに連れて行った。
やっとの事で、手すりに掴まって立って貰い、パンツタイプのオムツを下げて・・・
うそ!パンツタイプじゃないよ、これ!
ガッチガチにオムツじゃないの!立ったままで外すのは不可能だよっ!
やっとの事で立っている母は、立位を保持できないので、崩れるように座り込みそうになる。座り込んだら最後、良い子ちゃんが一人で、母を抱えて車椅子に乗せることは多分無理。
一度外しかけたオムツを、なんとか止めてズボンを上げた。
シミュレートしていたのとは、全く違う展開に、良い子ちゃんはパニックを起こしそう。
ほんの15分くらいで済ませられる予定が、すでに30分近く経っている。
搭乗口に戻ると、我々の到着を待っていたかのように、すぐに案内が始まった。
「呼びに行こうかと思っていた」と夫。
「結局、トイレでは用を足せなかったんだよ。オムツガチガチに巻いてあったから」
「パンツタイプにして貰ってるんじゃなかったっけ?」
「気を回して、ガチガチにしてくれちゃっていたみたい、良かれと思ってしてくれたんだろうけれど、困ったわ」
ぼそぼそと会話を交わしながら、どうしようもないからホテルまでこのまましかないねと諦める。
良かれと思ってやってくれたのは判る。でも打ち合わせ通りにして貰ってなかったから、超焦ったのよ!トイレに連れて行ってパニック!30分かかって、飛行機に乗り遅れるかと思った!
ほんとよ。