残業が終わってロッカー室にもどり、タブレットを起動した。
珍しく娘からラインが来ていた。
「26日13:30 どうしても外せないアポが入った、おばーちゃん怒るかな」と。
26日は父の納骨である。
月末の平日は難しいと、母には何度も繰り返して伝えていた。
まぁ、そんなの自分の勝手でしか動けない人だから、無理なんだろうと思ってはいたけれど。やはりというか、そう来るか?というか。
月末の最終月曜日に持って来やがった!
上方にいる兄妹の父親が残した会社を、息子が継いでいる。
膨大な借金を抱えて潰れるしかない状態だった会社を、三年掛けて立て直した。
妹も手弁当で手伝って、兄妹助け合って税金を納められるようにまでしたのだ。
今でも、彼女は会社の経理を担当している。
月末で外せないアポというと本当に外せない訳だ。
「しやぁないでしょ。死んだ者より生きている者の方が大変なんだから。行けない連絡はすぐにしなさいね」と返しておいた。
夜になって、
「今から気が重い。誰かに任せられないの?と言われるのが判っているから。任せられる誰かがいないのが自営業なのにね。ああ、ほんまに気が重い」
とのラインが来た。
「ごめんなさい。誰にもお願いできないの。本当に申し訳ありません」と、言い切る。その後は何も耳に入れない。ただひたすら謝るってのが秘策。という感じに逃げ切ってみて。頑張れ!と返した。
しかし、気が重いのは良い子ちゃんだって同じなのだ。
娘達が来られないとなると、全く逃げ場が無くなるのだ。
仕方ないけど。
ああ。出発はもう明日じゃないか。
胃が痛くなってきた・・・・・笑い事じゃないぞ!