良い子ちゃんは、虫も爬虫類も全然平気である。
山椒やコブミカンの葉についたアゲハの幼虫や
ブロッコリーについたモンシロチョウの幼虫、
プランターの中にいるカナブンの幼虫等々。
つまんでぽい!も出来るし、ひねり潰すなんて事だって平気。
ヤモリもイモリも蛇だって、平気だねぇ。
ってか、捕まえてちょっと遊んじゃったりして。
しかし、そんな良い子ちゃんにも「唯一」「絶対にダメ」なヤツがいるのだ。
名前を口に出すのさえ嫌なヤツ。
2センチ足らずの幼生でさえ、目にしたら確実に飛び上がり悲鳴を上げる。
ほら、逆三角形の頭で、交尾したあとの雄を雌が食べてしまうというヤツ。
前足がぎざぎざの折りたたみノコギリみたいになってる、
秋になると堅いスポンジ状の卵を草の茎に産み付けて
孵化したら、水飴が垂れるみたいにわらわらと垂れ下がってくる幼生・・・
ぎゃーーーー!思い浮かべただけで、鳥肌が立ってきた!
昨日は、奥歯の詰め物が取れたので、
歯医者へ緊急メンテナンスに行っていたのだ。
会社からまっすぐ行って、帰宅したら21時近く。
夫が食事を用意してくれていると知らせてくれていたので
結構急いで帰ってきたのだった。
先に帰宅した方が、玄関前の外灯を点けることになっている。
なんとなくライトを見上げた視界に、、、、
見慣れないモノが・・・・うっそ!
絶対に見たくない、ヤツが視界に写り込んだ!
外灯に寄ってくる虫たちを捕まえようとしていたのかもしれない。
10センチ以上はあるかもしれない、ヤツが
ドアの上の天井にくっついているのだ。
『うわぁ~~~~~~っ!』
良い子ちゃんは悲鳴を上げた。きゃーなんて可愛い悲鳴じゃない。
恐怖の、腹の底からの悲鳴である。
さて困った。
ドアを開けられない!
開けた拍子にヤツが落ちてきたらどうしよう!
隙間から玄関に入るにしても、
隙間を空ける為にドアノブをつかむ手の上あたりの天井にくっついているんだよ!
そんな恐ろしいこと!出来るわけがないっ!
ドアに近付くことも出来ずに、地団駄踏みつつ唸る良い子ちゃん。
しかし、そんなコトしていたら、動く良い子ちゃんに向かって飛んでくるかもしれないというのに気づいたのだ!
それは絶対に嫌!
そんなことになったら、絶対に心臓麻痺起こすっ!
そーーっと鍵を開けて、
ばっとドアを開けて、玄関に飛び込んだ。
すぐにドアを閉めたいけれど、油圧式のシリンダーのお陰ですぐに閉められないのだ。
だから、飛び込んですぐに靴を脱ぎ散らして廊下へ逃げ込んだ。
「玄関のドアの上の天井にいたーー!お部屋に入れないかと思ったーー!中に入っていないかどうか見てきてーーーー!」と夫に訴えた。「入っていたら、すぐに外に出して!見せないでね、絶対に嫌だからね!!」
夫は、顔色変えて喚いている良い子ちゃんを見て一言
「天井に?気がつかなかったな。蟷螂?」だって。
わーーー!わーーー!言っちゃイヤーーーー!聞くのも嫌なの、その名前!
大丈夫、玄関には入っていなかったそうである。
ああ。寿命が縮まった気がする。
今朝は、ドアを開けるのもこわごわ。
そっと開けて、いないのを確かめてから外に出た。
帰ってきた時も、おそるおそるあたりを観察である。
そうか。そろそろ卵を産むために交尾の準備に入るんだね。
そういう季節になってきたんだ。
あーーーー!憂鬱だ!
かなり緑が多いこのあたり。
ヤツがいても当たり前の草むらはたんとある。
脇目もふらずに歩くことにしよう、そうだ!絶対にそうしよう!