コールセンターって所は、なかなかメンバーの入れ替わりが激しいところのようである。
毎月のように求人があり、新人研修が繰り返し行われている。
半月ほどの座学で、色々なことを詰め込まれる。
その後実技研修があるのだが、一環として隣席モニタリングも行われる。
本日の午後からの一時間が隣席モニタリングに当てられており、ウチのチームでも二人の研修生を受け容れていた。
うちのチームのベテランさんは、安定したトークで絶対のメンバーである。隣席でモニタリングする研修生の、よいお手本になるだろうなぁと思いつつも、睡魔に襲われる魔の時間に四苦八苦していた良い子ちゃん。
眠たくなるけれど、寒いし。
膝掛けと、ケープをかけ直そうとして立ち上がった時に、仕切のあちら側が目に入った。
二重敬語に、間違ったアナウンス、商品(サービス)名を自由に作り替える常習犯の隣に、見慣れない若い子が座っている。
『まさかねぇ』と思いながら、自席に座り直そうとする視界に、インカムを二股コードで繋ぐのが入った。
うっそ!こいつの隣でモニタリングさせられるわけ?この研修生?!
驚愕の事実に、椅子で凍り付く良い子ちゃんの耳に、得意げに声を張り上げてのインフォメーションコールが入ってくる。聞くに堪えられない内容だ。
『うわーーー!うわーーー!うわーーー!』と内心で叫びまくりである。
しかし、隣でモニタリングしている研修生は、にこにことして聞いている。
大丈夫か?と思った時に、ふとウチのチームの研修生を見てみた。
二人とも強ばった表情をしている気がする。
そうだよね、安定しているトーク=レベルの高いトークなのだ。
新人がこのトークを聞いたら、自信なんてなくなるかもしれない。
反対に、駄目だめなトークを聞いたら『これでもやっていけるんだったら楽勝♪』と思うかもしれないよね。
強ばった表情をしている研修生は、ごめんなさいだけど長持ちしそうな感じではない。諦めるなら、さっさと退いてもらう方がお互いのためにもいいのかな。
にこにこしている研修生は、けっこう残りそうな感じがする。
コーチ達も意地が悪いよねぇ。
モニタリング実習の時から、既に着台判定の準備が始まっているのかもしれない。
あの駄目だめトークも、何らかの役に立っているって事なのかなぁ。
聞こえてくる範囲にいる良い子ちゃんには、毎日地獄なんだけど。
諦めるしかないか。