まだ9月は終わっていない。
だけど、バスを降りた途端に、ふわっとキンモクセイの薫りに包まれた。
今日は、最寄り駅からバス通りを通るバスで帰宅したのだ。
最近は国道から違う路線のバスを使う事が多いため、途中にキンモクセイがないから気がつかなかったのね。
『いつのまにか秋になっていたんだ』
上方にいた10年くらい前のこと。
10月5日の例会の頃、前栽の木犀の木に小さな蕾を見つけると
『秋なんだなぁ』と思ったことだった。
毎月、3日・5日・6日・9日10日・15日・20日・21日と例会があった。
それ以外の日にも、会合や打ち合わせや出張を挟んで仕事が詰まっていたので、
世間様と同じ様な休みを取りにくい職場だった。
休みを取ることが出来る「1日・11日・22日」が土曜日だったりしたら、
よっぽどの予定が入らない限り、次の日曜日もお休みを貰ってお江戸の自宅に帰っていたっけ。
お江戸の住まいの周りには、公園の他にも学校や図書館など公共施設があり、庭に木々を植えているお宅も多かった。
いつもお江戸にいる時は、二人で散歩を楽しんでいたのだけれど
春先や秋口の散歩は、季節の花の香りに包まれるから、他の季節よりも余計に楽しみだった。
職場の木犀は他の所よりも少し早めに咲き出していたっけ。
上手くいくと、10月の始めにお江戸で木犀の香りを楽しんで。
上方に戻ってから、また咲き始めの香りを楽しんで。
好きな木犀の香りを、他の人よりも長く楽しめる感じで、ちょっと得した気分だった。
今年は馬鹿みたいに気温の高い夏を過ごした後、いきなり涼しいを通り越して寒くなって。と思ったら、また真夏日になったり。
植物たちもビックリしているのかもしれない。
危機感を感じて、早めに花を咲かせたのかな。
明日はまた、国道のルートで出勤するけれど。
途中の木々によくよく気をつけて、木犀の香りを探してみようと思う。