夕方帰宅して、いつも通り郵便受けを開けて郵便物を取り出した。
・・・いや、取り出そうとしたのだ。封筒が2通入っている。
上になっている水色の封筒の宛名書きをみて、思わず手を引っ込めた。
『・・・・母上様からのお手紙だ。うそ!分厚い~~~~!!』
月曜日は15日で鏡開きの日である。
帰宅して小豆がゆを作るつもりでいたのが、ぶっ飛んだ!
怖いことはさっさと終わらせるに限る。
コートも脱がずに封を切る。
プリントされた印刷物が2種類+2枚の便せん+6枚の便せんが入っている。
印刷物の方は後回しにして、薄い方の便せんを広げる。
広げて、安堵する。毛筆書き(行書)の寒中見舞いの手紙であったからだ。
一枚目の最後に納骨の日を決めたと書いてあった。
・・・・ああ、決めたのね。と思って2枚目を見ると『宿も抑えました。毎回勝手で申し訳ありません、許されて』と書いてある。
え?宿って。
納骨の日は月曜日ってあるよ。
月・火と休んで京都へ来いと言うのか?いや、言ってるし!!
うそーーーー! やんわりとだったけど、ちゃんと断ったし!
考えるって言っていたやん!
頭がパニックを起こして、思わずへたり込んだ。
呆然としているところへ、夫が帰宅した。
「あ、ごめん。ご飯すぐ作るから待ってね。
これ、お母様からお手紙が来た。納骨の日決めたから来いって書いてあるみたい。
目を通しておいてくれる?」と頼んで、良い子ちゃんはキッチンに逃げた。
パニックを起こしながら、なんとか米を洗い、圧力鍋に放り込んだ。
蒸した真空パックの小豆も一緒に入れて、水を張り、塩を加えて粥を炊く。
おかずも作るつもりで買い物をしてきてあったが、それどころじゃない。
消費期限間近の入替で引き取ってきた防災食セットの中から、肉じゃがを出して来て湯煎で温めた。
流石圧力鍋だね。20分ほどでちゃんとおかゆが出来たじゃん!
・・・・だけど、食欲が湧かない。
「そんな不景気な顔してないで!」と夫は言うけれど、出るのはため息ばかりである。
もう一方の手紙は「何故、お彼岸までに納骨したいのかという私の思いを聞いて下さい」と始まっている。
聞かなくても判っているよ!と思いながら読んだら、やっぱり思っていたとおりだったから、余計にがっかりしてショックを受けてしまう。
今更だけど。
85才も過ぎた人の性格など変えられないのだし。
とっとと諦めた方が良いのだろうけれど。
自分も年を重ねたら「ああなるのかもしれない」と考えるとぞっとする。
己の行く末を見る感じがするから、こんなに腹立たしいのだろうか?
行くか行かないか。
たった一日じゃ結論は出ない。
さて、どうした物か。