法事で上方に行くのを渋っていたからって言うわけではないだろうけれど。
なぜだか、夢の中で庭の椿を沢山切り取っている良い子ちゃんを見た。
父が逝った春。
新幹線の往復券有効期限ぎりぎりまで実家にいて、
出発前に花鋏を受け取って庭の椿を沢山切って持って帰ってきた。
桜が咲き出してはいたけれど、
まだまだ寒い時期だったので、
玄関の花立て活けた椿は一ヶ月くらい咲き続けてくれた。
お江戸に転居したのも春だった。
引っ越しの直前に実家に行った時、
玄関脇の卜半は、花を10個もつけていただろうか。
「やっと花が咲いたのね」と声を掛けた良い子ちゃんに、
母は「切ってあげようか?」と言ってくれたのだった。
「持って帰ったって、花を入れる余裕がないわ」と断ったっけ。
父が逝ったのは あれから5年だか6年だか。
件の卜半は大きく枝を伸ばし、たくさんの花をつけていたのだった。
北側の通路にもたくさんの椿が植わっている。
同じ種類はない。
奥から順番に2枝ずつくらい切ってくると、
すぐに腕一杯になってしまう。
庭に椿が沢山植わっているのが当たり前の生活だったからか。
この時期に、椿を見ないと寂しいんだというのに気づかなかった。
でも、気づいた途端に寂しくて寂しくて。
実家に行けばいいのだけれど、それもなんだかしゃくに障る。
そうだ。ベランダで育てたら良いんじゃないの!
と気がついて、早速苗の購入を目論んで調べてみた。
・・・・うーーーん。良い感じのが無い。
こうなったら、法事で上方に行った時に、
上手いこと言って切り花で貰って、ダメ元で挿し木してみるか。
併行して苗木も探してみよう。
椿というよりも、卜半が好きなんだから。
春になると、藪椿が咲く山間の道を、父と散歩したのも思い出す。
このあたりでは、サザンカは見るけれど、椿は少ないなぁ。
普通はそんな物なのかなぁ。