夫と一緒に帰宅する途中のこと。
雨上がりの夜の道を歩いていてふと思った。
「関東に来てから、オケラを見たことない気がする」と。
夫も「そういえば見てないかも」と言う。
上方では、雨上がりの道ばたなどでよく見かけたような気がする。
田んぼの畦や、畑の畝など。
散歩の時にも見かけたっけ。
コオロギやバッタを見るのと同じくらい当たり前の生き物だった。
オケラのことを思い出して、昔のエピソードも思い出した。
小学生だった良い子ちゃんは、捕まえたオケラを手のひらに載せて
「これが大きくなったらモグラになるんだよ」と言った。
もちろん、絶対にそんなことはありえない。
まさか信じる子がいるなんて思っていなかったのだ。
「うそだーーー!」と返ってくると思って言ったのに
「へー凄い。そういえばそっくりだね。モグラの子どもがオケラなんだ」と返ってきた言葉にビックリ!重ねて「良い子ちゃんって本当に物知りだよねーー」って言われて、からかわれたんだと思ったのだ。
似てると言えば似てるけれど、虫とほ乳類だよ?
絶対に違うじゃん!
良い子ちゃんは、よく本を読む子だった。
学級文庫はあっという間に読破してしまって、よく図書室に籠もっていた。
確かに物知りだったかもしれないけれど、そこは小学生だから限度もある。
しかし「物知りの良い子ちゃんが言うんだから本当のこと」と考えられていたなんて思いもしなかったのだ。
数日後、担任の先生に叱られるまで、からかわれたと思い込んでいたのだから。
「良い子ちゃん。あなたが言ったら本当だと思うお友達がいるのだから、嘘を言うのは良くないね」っと言われて驚いた。「冗談だと判っていてからかわれたんだと思っていました」と先生に言うと「みんな、素直だから信じたのよ。謝りなさいね」と、優しく言われたのだった。
・・・・みんなは素直だけど、良い子ちゃんは違うんだ?
と、その時は思わなかったけれどね。
こうやって並べてみたら、やっぱり似てるね。
モグラの子どもはオケラだなんて、信じちゃっても仕方ないのかも。
ましてや50年も前には、今みたいにすぐに何でも調べられるなんて事無かったんだし。
真剣にオケラ、探してみようかなぁ。と思ったのでありました。