来月の下旬に、上方から娘が遊びに来る。
遊びにと言うより、ご飯を食べにと言うのか。ともかく来るのである。
今年31才になる娘とは、ちょうど間の12年くらい離れて暮らしていた。
だまし討ちにあい、会うこともままならずの12年だったのだが、娘の方からアクションを起こし再会に至った。
交流が出来るようになってからは、機会があるごとに、別れていた間の時間を取り戻すがごとく、餌付けを行ってきた(笑)、娘本人が曰くであるが。
上方を離れて8年弱か。
「ご飯食べに行くーーー!」とかけ声は勇ましいが、今回でやっと二回目。
食べたいものリストは、事あるごとにSNSやメッセージサービスを通じて送られてくる。
今回のリクエストの筆頭にあったのが「キスと長ネギの煮物」であった。
「焼きキスはこちらでは見かけないよ」と返したら「えーーー食べたいぃぃ!」と返ってきた。「焼きキスは冬の物だし、長ネギの美味しいのも冬じゃないの」と言っても、なかなか納得しない。リストの中には「地獄蒸し」もあった。これは熱湯で茹でるように蒸し上げた茶碗蒸しのことなのだが、これとて冬の極寒期に嬉しい食べ物である。
「これって、SNSでアップしてあった料理のピックアップでしょ!」と問いかけると「そのとーり」だと。
もちろん、夏のメニューもいろいろあるのだが、一番食べたいものが冬の物ってどうしよう?と悩んでいるところだ。
親ばかは、なんとかお取り寄せできないかと探してみたりして。
しかし、お江戸で暮らしている母親のところで「鱧」や「焼きキス」を食べたいなどと、言うんじゃないよ!と思うのだが。上方で暮らしていて、鱧や焼きキスが当たり前にある環境だと、どこでもある物だと思ってしまうのかもしれない。
お江戸ならではのもの。何か考えてやらねばと思っている。