10月に入った。
夕食を始める頃に、母から電話が掛かってきた。
9月の初旬に、返済残高を一括で入金することになっていたが
その時期を巡り、大喧嘩になったのは8月だった。
もちろん、踏み倒すなどと思っているわけではない。
しかし、返済が済まない限り、良い子ちゃんは不良債務者のままである。
それが実際にどれほど嫌な事なのか、母には理解できないようだ。
電話の内容は「9月8日に送金は完了しているけど、(信販)会社からは何も言ってこないわよ!」だった。
「払う前は、やいやい煩かったのにね。払ったからって連絡はないの?そっちには当然行ってるでしょ?」
「こちらには連絡頂いても、何も出来ないと伝えたから来ないと思う。完済したからと言って連絡はないものだと思う」
「なんてことでしょ、まぁ、ご迷惑おかけしたけど終わりましたから。その報告ね」
そう言って、母は会話を終了させた。
9月に入り、何も連絡はない。
中旬を過ぎても連絡はない。
とうとう9月が終わったがやはり連絡はなかった。
返済が終わったら、当然その連絡はあってしかるべきだと考えていた。
連絡がない限り、こちらからは母に連絡するつもりはなかった。
もちろん請求元にも連絡はしないし、カード会社からの書類提出のお願いにも応じるつもりはなかった。
万が一、支払いが遅れていたら。。。。。。
完済されるまで、良い子ちゃんは不良債務者のままなのだ。
その事実を確認するのは、あまりにも心が痛すぎる。
実家に置いてある良い子ちゃんの物が、今回現金化されて、返済に充てられた。
どうしようもないと思ったから、実家に置いてある(良い子ちゃんが持っていても使わないから)物の処分については、母に任せたのである。現金化を急いだから、1/3以下の値打ちになってしまった。
関係ない人の手に渡ったのではないけれど、良い子ちゃん自身にもかなりの葛藤があった。
『ありがとう』の一言くらいは欲しかったな。
あれ、関係者はみんな欲しがっていたんだよな。
欲しい人たちで、オークションするかななんて話も出ていた。
でも、そんな悠長なことを言っていられなかった。
終わっていたんだ。。。。そうか、おわったんだ。
長かったなぁ。
長かったと思うけれど、ほんの半年くらい前からの事だったんだな。
母がああいう物言いしか出来ない人だとは判っているけれど。
「便利で頼りになる無理を言える」そんな都合の良い、母にとっての良い子ちゃんなんて、やめにしたいんだよっ!もう、お願いだから。
連絡は入ったけれど、心が疲弊してどうにかなりそうな良い子ちゃんである。