この月曜日の話しである。
昼過ぎからちらつき始めた雪が、どんどん勢いよく降りだした。
強風と相まって、完全に吹雪である。
職場はコールセンターなので、窓のブラインドは下ろされている。
外の様子は見えない。
いつものように忙しいので、トイレに行く時間もままならない。
廊下の両端は天井までの窓だから、外の様子はばっちり見える。
が、トイレに行く時間もままならないのだから、廊下の窓など
見に行けるはずもない。
せっせとお仕事をしていたら、リーダーがメモを片手にやってきた。
「バスが間引き運転になりそうなんだって。
通勤経路にバスがある人に早退勧告がでたのよ。
必ず帰りなさいってのじゃないけど、希望なさる?」とのこと。
二つ返事で「帰る!」と応えた。
1時間早く仕事を上がり、遠回りだけれど建物の中を通れる道順で
駅を目指す。
ムービングロードは吹雪の吹きっさらしだ。
帽子を被っていても、風が通って耳が痛む。
やっとの事で駅にたどり着くも、電車は20分遅れだって。
諦めてホームで待つ。雪交じりの風が吹き付けるけれど
改札階に下りたら、電車に乗れなくなるかもしれない。
徐行運転の電車は自宅最寄り駅に着いた。
階段の下までタクシー待ちの列が出来ている。
月曜日は、良い子ちゃんの刈りあげ頭を管理してくれている、
床屋のおばちゃんの出勤日である。
おばちゃんいてよね~~!と祈りながら床屋さんへいくと
なんと!「雪のため早じまいします」と張り紙が貼られ床屋さんが早じまい。
タクシーは無理だけど、バスなら!
しかしバスも長蛇の列で、二本程度の見送りでも乗れそうにもない。
諦めて足元を見ながら歩いて帰ることにした。
歩いている間にも、雪はどんどん積もっている感じがする。
ウインタースノーブーツを履いていても、
滑って転んだら怪我をするかもしれない。
慎重に慎重に。
結局吹雪の中を40分以上掛かってやっと帰宅できた。
背負ってるリュックにも雪が積もっている。
傘も、途中で何度も払ったのにずっしり重たく雪が積もっている。
ありえない~~~~~!
バス通りを歩いて帰ったわけだが、途中で一度もバスの姿は見えなかった。
と言うことは、待っている人はずーーーっと待っているって事だよね。
バスどころか、タクシーも帰ってきていなかった。
あの人達は帰ること出来たんだろうか?
バスもタクシーもだけれど、実は車も通らなかったんだよ。
だから、歩いて帰宅する人たちは、歩道から車道に下りて歩いていたわけ。
車が来ないんだもの、狭い歩道を通るよりも良いと考えたんだろうね。
良い子ちゃんは歩道を歩いていたけれど、
途中で「危ないので歩道を歩いて下さい」とアナウンスしながらパトカーが通った。
通った車はパトカーだけだったんだよ。
パトカーが通り過ぎるまで歩道を歩いていた人たちは
通り過ぎたら、また車道に戻っていたね。
でも、やっぱり車は通っていなかったから、
良いんじゃないの?と思ってみていた。
しかし、バスが止まり始めてからの早退勧告は遅くね?
良い子ちゃんは辛うじて、徒歩でも帰宅できたけれど。
早退しても帰宅まで3時間とか4時間掛かった同僚もいた。
良い子ちゃんは冷えてお腹を壊しちゃった。
これには参っちゃったね。